ほんとの空は見えたのか・・・vol4 安達太良山
再びの静寂の登山道であった。わずかに鳥のさえずりが遠方から聞こえてくるが他の登山者の気配はない。だいぶ標高を稼いだのか、明らかに木の高さは低くなり、天への視界が開けてきた。相変わらず雲に覆われた空は雨の気配はなかったが、なんとも気分を塞ぐものだった。
どれほど歩いただろうか、時計をみると出発から二時間近くたっている。
そろそろ、中間ポイント「くらがね小屋」に着いても良いころだよなと思っているところ、それはようやく僕の視界に入った。
森林限界が始まろうかという山の中腹にそれは存在していた。めざす「くろがね小屋」だった。
遠くからも十分に確認できる建築物は、前もって聞いてはいたが想像以上に立派なものだった。
こうなると自然に歩むスピードも速くなるものだ。ここまでが余り変化のない単調な登山であっただけにテンションも一段と上がってくる。
着実に小屋へと近づいていくと、鼻腔を突く硫黄のような匂いを感じた。岳温泉の源泉も近いことの証拠だった。
以下次回