2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ほんとの空は見えたのか・・・ vol.5  安達太良山

くろがね小屋に到着 目指す建物は一歩歩くたびに視界の中で大きくなってきた。 ここまで、殆ど休憩を取っていなかったので汗が体にまとわりついている。息も乱れがちにくろがね小屋の前に立つと、その立派さに思わず息を呑んだ。 壁の塗装は剥がれかけている…

ほんとの空は見えたのか・・・vol4  安達太良山

再びの静寂の登山道であった。わずかに鳥のさえずりが遠方から聞こえてくるが他の登山者の気配はない。だいぶ標高を稼いだのか、明らかに木の高さは低くなり、天への視界が開けてきた。相変わらず雲に覆われた空は雨の気配はなかったが、なんとも気分を塞ぐ…

ほんとの空は見えたのか・・・ vol.3

登山道に似合わない音。その正体は車だった。 気づいた瞬間には、前方にもう姿を現している。登山道をすべて占拠するように目一杯の幅を使ってイカツイ車が見えた。一瞬なにが起きたか唖然としかけたが、幸いにもすぐ横に人一人はいれるような隙間があったの…

ほんとの空は見えたのか・・・ vol.2

さて、いざ山に登ろうと思っても肝心の天気がイマイチでは気分も乗るわけではなく 思わず温泉でも入ってこのまま帰ろうかという気持ちにもなったが、雲に山が覆われ ていても結構な数の登山者がいたので、僕も一人いそいそと登山準備をして、登山口 へと向か…

ほんとの空は見えたのか・・・ vol.1

九月某日 久しぶりの晴れ予報に心躍らせ、僕は福島県にある百名山の一つ 安達太良山を一人目指していた。 安達太良山といえば高村光太郎の「智恵子抄」の詩が有名であろう。 「あどけない話」という詩の中で、智恵子いわく東京の空はほんとの空ではない 安達…